2015年04月27日
自宅併用賃貸住宅を建てる時には小規模宅地等の特例に注意!!
今年に入って、相続税の基礎控除額の減額による増税が騒がれていますが、反面、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例は面積要件等は緩和され、この特例規定を適用できるかたは減税となってきます。
これは、基礎控除額減額分を、一定の要件を満たす方には補えるように配慮したものと思えなくもないように感じます。
この小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例は、もともとは事業承継対策としてできたものらしいです。
個人が商売等の事業の用に供している土地はその家族にとっては最低限、必要な財産・・・それではその財産を引き継いだ者が継続して事業を続けて行くのならばその土地の課税価格を低くしてあげますよ、という目的であったようです。
そして、その必要な財産は、居住用に供しているのも対象となり、さらには事業のうち貸家経営のような不動産所得に分類されるいわゆる準事業といわれるものに供している土地は一般の事業とは区分されることとなっていきました。
そして、現状は、事業用の小規模宅地は400㎡まで80%の評価減、居住用は330㎡まで80%の評価減、貸家用は200㎡まで50%評価減、そして事業用と居住用はそれぞれの限度面積まで併用が可能となりました。
要は、事業用で400㎡+居住用で330㎡、合計730㎡までMAX80%の評価減の恩恵が受けられることとなりました。
ただし、貸付用の特例の適用を受けようとすると、旧来の全体として400㎡(居住用と貸付用はぞれぞれ×400/330、×400/200、を乗じた地積で判定)の面積要件が生じてきますので、土地をたくさん所有されているかたは、この貸付用の特例の適用をうけることは少なくなってくるものと感じています。
この小規模宅地等の課税価格計算の特例は相続税の基礎控除額が減額されてしまったなか、非常に有効な見逃せない相続税の特例規定になってきたように思います。
都心部の不動産は住居用しかないといったかたも基礎控除額の減額で相続税の課税を心配せざるをえなくなった状況では、この小規模宅地等の特例が受けられるか否かで相続税の課税を免れるかいなかの分かれ道となってきます。
充分にその適用要件とその適用を受けたことによる効果については充分に検証しておきたいところです。
たとえば、住んでいる家を建て替える場合に敷地が100坪(330㎡)と広めであることから、自宅の他に貸家も併用して建て替える場合を考えてみます。
ハウスメーカーの営業のかたから、どうせ建て替えるのなら自宅以外にも将来の年金の足しに貸家を併用して建てましょうと奨められることがあるでしょう。
住宅地としての環境も良く、交通のアクセスや学校、スーパーの立地も申し分ないといったような市場性の高い地域であれば悪くない話です。
そして、長男は転勤族で定年までは日本全国を回って歩く、長女は嫁いでいて、同居するあてもないので2世帯住居を建てる必要もない。
老夫婦2人で住む家に対しては敷地が広いし、もったいない・・・
であるならば、貸家を併用して、賃料を年金の足しにしてという考えはもっともな話です。
そして、敷地のうち、貸家部分は貸家建付地として、相続税の評価額の計算上、一定の減額できる計算方法が採れることとなってきます。
しかし、小規模宅地等の特例に違いがでてくることとなってきます。
大まかな条件設定として、敷地100坪(330㎡)、路線価坪100万円(借地権割合60%)、建物100坪(住居部分50坪、貸家部分50坪)としてみます。
住宅のみ建て替えた場合の相続税評価額は次の計算となります。
路線価100万円☓100坪=10000万円(1億円)-10000万円☓330㎡/330㎡☓80%(小規模宅地等の特例の減額)=2000万円となります。
そして、上記の条件設定の貸家併用で建て替えると次の様な計算となります。
①敷地のうち住居部分
路線価100万円☓(100坪☓50坪/100坪)=5000万円ー5000万円☓165㎡/165㎡☓80%(小規模宅地等の特例の減額)=1000万円となります。
②敷地のうち貸家部分
路線価100万円☓(100坪☓50坪/100坪)☓(1-0.6☓0,3)=4100万円ー4100万円☓100㎡/165㎡☓50%(小規模宅地等の特例の減額)=2857万円となります。
①+②=3857万円となります。
このケースの場合、住居のみで建てた場合と貸家併用とで建てた場合の差は1857万円となり、おおよそ2倍近くの差となってきます。
仮に、株を初めとした金融資産や多額の生命保険金に加入しており生命保険金の非課税控除後で1億円程度の金融資産があった場合で、基礎控除額控除後の課税価格が5000万円超1億円以下の場合とすると相続税の税率が30%となりますので、おおよそ557万円程度の相続税の差となって表れてきます。
こうなってくると、貸家で稼いでくれる収入から貸家のローン(ローンを組んでいたとして)を差し引いた実収入と比較して、どの程度のメリットが生じるのかの検証は、是非とも、しておきたいところです。
このようなケースでは、この家を建てたお父さんが高齢となり相続を意識せざるを得なくなった頃に長男家族が貸家に住んで、小規模宅地等の特例の恩恵をより多く使えるようにするといったことは考えられるでしょう。
その方法にしても、細かな適用要件を確認する必要はありそうです。
もっとも、この小規模宅地等の特例は租税特別措置法の規定ですので、いつなくなってしまうか分からない規定ではありますので、遠い将来にわたってこの規定をどこまで意識するのかを考える必要はありそうです。
ただ、相続は、いつ起こるかは分からないものですから、ある程度は現行法令に基づいて考えざるを得ないこととは思います。
さらなる消費増税も控えていますので、あらゆる営業の提案が考えられます。
そんな時には、是非、いろいろな角度から考えてみて将来のキャッシュフローを検証しながら判断していってみてください。
株式会社ARK財産承継コンサルタンツ(旧荒木不動産コンサルティングFP事務所)は、相続対策やライフプランの作成、生命保険の見直し、住宅取得や住宅ローン等のご相談の他、土地活用や不動産売却等の不動産コンサルティングのご相談も承っております。
4月から、更なる業務充実のために、株式会社ARK財産承継コンサルタンツを設立しました。
事務所は従来のつくば市の事務所の他に、東京にも新事務所を開設しました。
東京事務所 :東京都港区虎ノ門4-1-21 葺手第二ビル3F 電話:03-6869-5759
つくば事務所:茨城県つくば市千現2-1-6 つくば研究支援センタ― A17-3 電話:029-851-6334 メール:info@arakifp.com
HP:http://www.arakifp.com/(相続支援あらき)株式会社ARK財産承継コンサルタンツHPは作成中
ご相談希望のかたは、まずは、メールか電話でご連絡ください。
初回は、無料で、ご相談内容の概要をお聞かせいただきます。
無料相談後に、その後のご相談内容やご提案内容、お見積金額についてお話させていただきます。
その業務内容とお見積金額でご検討いただき、ご納得いただけましたら業務委託契約書を締結させていただきます。
業務委託契約後締結前に、費用は発生しませんので、ご安心ください。
相続支援業務につきましては、『相続支援ネット』に所属し『つくばエリア』を担当しています。
『相続支援ネット』とは相続の各専門家(税理士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士)とコワーク(協働)を組み、お客様が的確な相続を実現するためのアドバイスと支援をご提供する相続専門家集団です。
また、不動産の売買や不動産活用につきましては、船井財産コンサルタンツ東京銀座在職中に培った財産コンサルタントの経験を活かしながら不動産コンサルティングマスターとしてお客様重視の提案や対策実行をさせていただいております。
なお、生命保険コンサルティングにつきましては、『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービシーズ』に生命保険募集人として出向しています。
『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービーシーズ』は、FPとしての視点で、事業承継継対策や財務体質改善、相続対策、ライフプランにおける保険の見直し等、あらゆる問題解決のための保険活用のご提案をさせていただいております。
そのFPの視点の経験を活かした生命保険活用のコンサルティングをご提供させていただきます。
そして住宅取得につきましては、三菱地所ホーム㈱での20年間に及ぶ住宅営業の経験とFPの知識を活かして、土地探しから建設会社の選定、間取りやお見積りの内容の相談、さらには家計チェックに基づく新規住宅ローンやアパートローン並びにその借換えのご相談まで承っております。
これは、基礎控除額減額分を、一定の要件を満たす方には補えるように配慮したものと思えなくもないように感じます。
この小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例は、もともとは事業承継対策としてできたものらしいです。
個人が商売等の事業の用に供している土地はその家族にとっては最低限、必要な財産・・・それではその財産を引き継いだ者が継続して事業を続けて行くのならばその土地の課税価格を低くしてあげますよ、という目的であったようです。
そして、その必要な財産は、居住用に供しているのも対象となり、さらには事業のうち貸家経営のような不動産所得に分類されるいわゆる準事業といわれるものに供している土地は一般の事業とは区分されることとなっていきました。
そして、現状は、事業用の小規模宅地は400㎡まで80%の評価減、居住用は330㎡まで80%の評価減、貸家用は200㎡まで50%評価減、そして事業用と居住用はそれぞれの限度面積まで併用が可能となりました。
要は、事業用で400㎡+居住用で330㎡、合計730㎡までMAX80%の評価減の恩恵が受けられることとなりました。
ただし、貸付用の特例の適用を受けようとすると、旧来の全体として400㎡(居住用と貸付用はぞれぞれ×400/330、×400/200、を乗じた地積で判定)の面積要件が生じてきますので、土地をたくさん所有されているかたは、この貸付用の特例の適用をうけることは少なくなってくるものと感じています。
この小規模宅地等の課税価格計算の特例は相続税の基礎控除額が減額されてしまったなか、非常に有効な見逃せない相続税の特例規定になってきたように思います。
都心部の不動産は住居用しかないといったかたも基礎控除額の減額で相続税の課税を心配せざるをえなくなった状況では、この小規模宅地等の特例が受けられるか否かで相続税の課税を免れるかいなかの分かれ道となってきます。
充分にその適用要件とその適用を受けたことによる効果については充分に検証しておきたいところです。
たとえば、住んでいる家を建て替える場合に敷地が100坪(330㎡)と広めであることから、自宅の他に貸家も併用して建て替える場合を考えてみます。
ハウスメーカーの営業のかたから、どうせ建て替えるのなら自宅以外にも将来の年金の足しに貸家を併用して建てましょうと奨められることがあるでしょう。
住宅地としての環境も良く、交通のアクセスや学校、スーパーの立地も申し分ないといったような市場性の高い地域であれば悪くない話です。
そして、長男は転勤族で定年までは日本全国を回って歩く、長女は嫁いでいて、同居するあてもないので2世帯住居を建てる必要もない。
老夫婦2人で住む家に対しては敷地が広いし、もったいない・・・
であるならば、貸家を併用して、賃料を年金の足しにしてという考えはもっともな話です。
そして、敷地のうち、貸家部分は貸家建付地として、相続税の評価額の計算上、一定の減額できる計算方法が採れることとなってきます。
しかし、小規模宅地等の特例に違いがでてくることとなってきます。
大まかな条件設定として、敷地100坪(330㎡)、路線価坪100万円(借地権割合60%)、建物100坪(住居部分50坪、貸家部分50坪)としてみます。
住宅のみ建て替えた場合の相続税評価額は次の計算となります。
路線価100万円☓100坪=10000万円(1億円)-10000万円☓330㎡/330㎡☓80%(小規模宅地等の特例の減額)=2000万円となります。
そして、上記の条件設定の貸家併用で建て替えると次の様な計算となります。
①敷地のうち住居部分
路線価100万円☓(100坪☓50坪/100坪)=5000万円ー5000万円☓165㎡/165㎡☓80%(小規模宅地等の特例の減額)=1000万円となります。
②敷地のうち貸家部分
路線価100万円☓(100坪☓50坪/100坪)☓(1-0.6☓0,3)=4100万円ー4100万円☓100㎡/165㎡☓50%(小規模宅地等の特例の減額)=2857万円となります。
①+②=3857万円となります。
このケースの場合、住居のみで建てた場合と貸家併用とで建てた場合の差は1857万円となり、おおよそ2倍近くの差となってきます。
仮に、株を初めとした金融資産や多額の生命保険金に加入しており生命保険金の非課税控除後で1億円程度の金融資産があった場合で、基礎控除額控除後の課税価格が5000万円超1億円以下の場合とすると相続税の税率が30%となりますので、おおよそ557万円程度の相続税の差となって表れてきます。
こうなってくると、貸家で稼いでくれる収入から貸家のローン(ローンを組んでいたとして)を差し引いた実収入と比較して、どの程度のメリットが生じるのかの検証は、是非とも、しておきたいところです。
このようなケースでは、この家を建てたお父さんが高齢となり相続を意識せざるを得なくなった頃に長男家族が貸家に住んで、小規模宅地等の特例の恩恵をより多く使えるようにするといったことは考えられるでしょう。
その方法にしても、細かな適用要件を確認する必要はありそうです。
もっとも、この小規模宅地等の特例は租税特別措置法の規定ですので、いつなくなってしまうか分からない規定ではありますので、遠い将来にわたってこの規定をどこまで意識するのかを考える必要はありそうです。
ただ、相続は、いつ起こるかは分からないものですから、ある程度は現行法令に基づいて考えざるを得ないこととは思います。
さらなる消費増税も控えていますので、あらゆる営業の提案が考えられます。
そんな時には、是非、いろいろな角度から考えてみて将来のキャッシュフローを検証しながら判断していってみてください。
株式会社ARK財産承継コンサルタンツ(旧荒木不動産コンサルティングFP事務所)は、相続対策やライフプランの作成、生命保険の見直し、住宅取得や住宅ローン等のご相談の他、土地活用や不動産売却等の不動産コンサルティングのご相談も承っております。
4月から、更なる業務充実のために、株式会社ARK財産承継コンサルタンツを設立しました。
事務所は従来のつくば市の事務所の他に、東京にも新事務所を開設しました。
東京事務所 :東京都港区虎ノ門4-1-21 葺手第二ビル3F 電話:03-6869-5759
つくば事務所:茨城県つくば市千現2-1-6 つくば研究支援センタ― A17-3 電話:029-851-6334 メール:info@arakifp.com
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初回は、無料で、ご相談内容の概要をお聞かせいただきます。
無料相談後に、その後のご相談内容やご提案内容、お見積金額についてお話させていただきます。
その業務内容とお見積金額でご検討いただき、ご納得いただけましたら業務委託契約書を締結させていただきます。
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相続支援業務につきましては、『相続支援ネット』に所属し『つくばエリア』を担当しています。
『相続支援ネット』とは相続の各専門家(税理士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、建築士)とコワーク(協働)を組み、お客様が的確な相続を実現するためのアドバイスと支援をご提供する相続専門家集団です。
また、不動産の売買や不動産活用につきましては、船井財産コンサルタンツ東京銀座在職中に培った財産コンサルタントの経験を活かしながら不動産コンサルティングマスターとしてお客様重視の提案や対策実行をさせていただいております。
なお、生命保険コンサルティングにつきましては、『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービシーズ』に生命保険募集人として出向しています。
『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービーシーズ』は、FPとしての視点で、事業承継継対策や財務体質改善、相続対策、ライフプランにおける保険の見直し等、あらゆる問題解決のための保険活用のご提案をさせていただいております。
そのFPの視点の経験を活かした生命保険活用のコンサルティングをご提供させていただきます。
そして住宅取得につきましては、三菱地所ホーム㈱での20年間に及ぶ住宅営業の経験とFPの知識を活かして、土地探しから建設会社の選定、間取りやお見積りの内容の相談、さらには家計チェックに基づく新規住宅ローンやアパートローン並びにその借換えのご相談まで承っております。
終活問題と終の棲家・・・
財産承継対策に不可欠な不動産相場の将来予測の難しさ・・・
相続対策の生前贈与のここ(定期贈与)に注意④・・・
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相続対策の生前贈与のここに注意②
相続対策の生前贈与のここに注意・・・
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Posted by 荒木財産FP at 11:22│Comments(0)│FPのひとり言・・・
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